９００ｎＡ／Ｃエバポレーター交換

	作業自体はダッシュ廻りを完全にばらす必要はありません。右ハンドルなので助手席側のダッシュポケット、その他を外してケース横のカバーを取るとエバポレーターを直接目で確認できます。当社ではエアコンのガス漏れ点検にトレーサーラインというのを使用しています。ＵＳＡ生まれの製品で冷媒サイクル内に蛍光剤を循環させ、紫外線ランプを調べたい個所に照射させて黄色のメガネで見ると漏れている部分で緑色の蛍光色に発光してわかるというものです。目で直接確認できる場所にかぎられますが、従来の電気式の検知機と併用することで早く、確実に発見することができます。Ａ／ＣガスにＲ－１３４ａを使用しているものは電気式の検知機ではなかなか判断がつきにくく、Ｒ－１２も蛍光剤を変えれば使用できるので重宝しています。他にオイル、冷却水用もあり、トレーサーラインを使用している整備工場は増えてきているみたいです。
	このパイプの形状だとこのままでは取り出すことはできませんが、供給される部品のパイプが分割式になっているため適当な個所で板金用バサミでちょん切ってしまいます。
	ちょん切ってエバポレーターを引っ張り出したところです。このあと、エンジンルーム側からエキスパンションバルブを外して残りのパイプ部分を取り外します。赤の矢印はアンチフロスト、又はアンチフリーズサーモスタットで２．５±１．１℃でコンプレッサーをｏｆｆにし３±１．１℃でｏｎにするものでエアコンならどんなタイプのものでもついています。
	取り出したエバポレーターとエキスパンションバルブです。漏れていた個所は中央部の下側部分からでした。直接の目視では見れませんでした。エキスパンションバルブは高温、高圧、液体の冷媒ガスをエバポレーターに噴出する量をコントロールするものです。冷媒ガスを噴出したときに気化熱を廻りから奪うためにエバポレーターは冷えるわけです。
	これが新品のエバポレーターです。ＰＮｏ．７４　９５　０９６　　１７６，０００円でした。（９９／９／上旬現在）分割式のパイプと必要なＯリング類がセットになっています。もちろん、総アルミ製で高級？な感じはしますが高すぎるのでは？単純に部品価格で比較すると私の記憶の限りでは１番高価です。大体、外車では１０万円前後はします。某メーカーのＳクラスでもこれより安かった筈です。ただし、あちらは脱着が大変で（ダッシュ廻りは全バラ）工賃も相当かかります。交換した車は９５ｙですが１年前から兆候はあり、２ヶ月ほどでクーラーが効かなくなる状態でした。
	新品に交換して接続部分もつなぎ終わったところです。このあと、真空引きをしてガスチャージをするわけですが、交換によってエバポレーター内部に残っているコンプレッサーオイルが失われるので適当に補充をします。（マニュアルにはエバポレーター交換時は４０ｍｌとあるが）

何故、数年（この車は４年ちょっと）でエバポレーターが漏れるのかということですが、国産車は知りませんが、外車では別に珍しくはありません。
ただ、夏になると仲間内でも何故漏れるのかでよく諸説うんぬん論議することがあります。
欧州車専門の電装、クーラー屋さんや某メーカーの修理を得意とする知り合いのところは夏になるとＳクラスのエバポレーター交換で賑わっています。（工賃、もうかるだろうなぁ～）

諸説その１
アルミ製で効率を良くする為に肉厚が薄い。その為、クラックが入り易い。または腐食しやすい。

諸説その２
日本の１年でもエアコンを使用する期間が長い。そのためエバポレーターが水分で湿気ていることが多い。
結果的に腐食して穴があく。

諸説その３
都市部、特に阪神間（Ｒ４３線）で使用頻度の高い車は亜硫酸ガスのせいで腐食する。（力説していた。）

諸説その４
単に製品不良である。品質管理が悪い。

私なりに考察
サーブ９００Ｎｅｗの場合でいうとエバポレーターの下部がケースと密着しており（薄いゴムで若干のスキマはある）水分が乾燥しにくく腐食しやすい。おおまかな水はドレンから排水されるわけですがスキマに水気が残る。
もし、エバポレーターの下部にきれいに水分が切れるように数センチかのクリアランスと耐腐食のコーティングがされていればどうかな、と思うのですが？
あとは、なんといっても、部品のお．ね．だ．ん．が高いことにつきます。

ちなみに最近、ベンツの交換した９３ｙ３２０ＣＥのエバポレーターは約１２万でした。
ただ、ダッシュ全バラの大仕事になるので工賃を含めたトータルではベンツのほうが高くなります。